2012年12月26日水曜日

窃盗癖(Kleptomania)について

児童相談所の相談ケースを担当するようになって、万引き少年と出会う機会が増えた。
どんな凶悪そうな奴かと身構えていると、拍子抜けするようなあどけない少年、ということが往々にしてある。

だいたいは、非行の理由を「出来心」と話すのだが、得てして行動は刺激を求めてエスカレートしていく。これは何故なのだろう?

DSM-4-TRでは、窃盗癖(Kleptomania)は、「他のどこにも分類されない衝動制御の障害」の章に分類されている。そのため、衝動性の高いADHDなどの発達障害をベースとしている可能性についても話題となっている。
 また、アルコール依存などと同様で、病的盗癖は、窃盗行為への衝動、欲望、誘惑に抵抗できないところで似ているようだが、臨床の現場では、女性に多く、アルコール依存よりも過食傾向の摂食障害に多いようである。

そう考えていくと、アディクション(嗜癖)には、アルコールや薬物などの「物質嗜癖」、恋愛やセックス、共依存、DVなどの「人間関係嗜癖」、買物依存やワーカホリックなどの「行動プロセス嗜癖」に分けられ、窃盗癖もこの「行動プロセス」への嗜癖だと言えそうだ。

治療としては、精神療法、認知行動療法に加えて、アルコール依存にも用いられるオピオイド拮抗薬「ナルトレキソン」、SSRI 、トピラマートなどが効果があるよう。

 難しいのは、他のアディクションも同様だが、物理的な隔離などの外的な力は、一時的な抑止力に過ぎないことである。ここでも自助グループの存在は重要である。本人に「逃れたいが逃れられない」という気持ちがあるのであれば、ピアサポートとのミーティングに通い続けないといけないだろう。

0 件のコメント:

コメントを投稿