2012年12月3日月曜日

地域における発達・在宅支援

日本小児科学会誌11月号 第115回日本小児科学会学術集会教育講演を読む。

小児科学会、全然行ってない・・・

山口県下関市で開業医をやられている金原洋治先生の「どうしたらいい?地域における発達・在宅支援」を読む。

新生児医療から療育の場作り活動を行っている先生が、療育の支援に加え、家族支援を含めた地域生活支援という視点から、「障害児デイケアハウス」「こころの相談室」「重症心身障害児者地域生活支援センター」をクリニック内に作った実体験に基づくもの。

 4階建てのクリニックは、1階が小児科クリニック、2階が「発達支援室ベースキャンプ」とボランティアによる「キッズドリーム」、3、4階に重症心身障害児者地域生活支援センターを併設している。子育て中の女性医師の協力を得て、小児科医2名により、精神科・リハビリ科も標榜して診療を行っていると言う。

 私も以前から、新生児医療の進歩に伴い、地域で療育を必要とする子供達が増えていて、今後ますます、療育や在宅支援の受け皿が必要になるだろうということを頭では理解しているのだが、「それで、実際、何ができるの?」ということを感じていた。特に、こころの問題や心理による療育は、診療報酬の面からも現実的に外来・クリニックでは難しいだろうと言う先入観を持っていた。

 かねはら小児科では、
1)在宅医療支援  
   重症例は救急医療の場の確保が重要なので、多くは総合病院にも受診している。クリニックと総合病院が、在宅療養指導管理料を分担したり、訪問看護・リハの指示書を書いたり、重症児の往診・訪問診療や通所施設への送迎を一部行ったりしているという。

2) 発達相談
 相談外来を予約制(週3回)行っているという。予約待ちが2ヶ月。新患は年間250名。発達障害児(者)に支援室ベースキャンプを利用してもらい、PT/OTは、リハビリ科として保険請求を行っている。臨床心理士は6名の非常勤者がおり、年間のべ2000件!の相談があるという。臨床心理士の人件費確保のために、精神科を標榜して通院在宅精神療法を保険請求している。自立支援医療の申請も積極的に勧めている。

3) 重症心身障害者地域生活支援センターの活動
 
を行っているという。

一般のクリニックで出来る発達支援・地域生活支援として、診療報酬の算定が重要である。
・小児特定疾患カウンセリング料 月2回まで 2年間限定
   気分障害、神経症、ストレス関連障害、身体表厳正障害、心理発達障害(自閉症)、行動・情緒の障害(ADHDなど)
・心身医学療法
  心身症、カウンセリング・行動療法(30分以上)
・通院・在宅精神療法(週1回、精神科標榜)
  統合失調症、躁鬱病、神経症、真因反応、児童思春期精神疾患など

・在宅療養管理指導料
・在宅時医学総合管理料(届け出が必要)

・障害児(者)リハビリテーション料
  1単位20分、1日6単位まで 
  施設基準:
8割以上が対象患者であること、
常勤職員でPT/OT 2名以上または、PT/OT1名+看護士1名または、ST 1名以上
専用施設 45m2 以上 
機械器具(マット、姿勢矯正用鏡、車椅子測定要器具)
   
・往診時 往診料


市町村の療育施設が、発達障害の疑いの子で溢れ返って、十分に機能していない現状で、こうしたクリニックレベルで発達・在宅支援が進んでいくことは歓迎すべきことであると思う。このようなノウハウやネットワークの蓄積・普及によって、より療育のレベルが上がっていくことを期待している。



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