2012年3月29日木曜日

オルフェーブルの逸走について

阪神大賞典でのオルフェーブルの逸走を見て、父ステイゴールドも大変やんちゃだったということから、改めてステイゴールドの現役時代のレースを見てみた。
2歳、3歳時には、真っ直ぐ走らずペリエでタイムオーバーになったり、競走中止したりして全能力を出し切れなかったのは有名な話だが、ステイゴールドを語る上で重要なレースをあげてみたいと思う。

1)1998年天皇賞(秋)  
これは、生で府中で見ていた。サイレンススズカの悲劇のレースとして有名。
当時私は、サイレンススズカからの馬単をしこたま買っていたため、競走中止した瞬間にレースの行方がどうでもよくなってしまったのだが、8歳馬オフサイドトラップが抜け出したときに、内から伸びるステイゴールドの伸び脚に目を奪われた。
今改めて見てみると、抜け出す脚は明らかにステイゴールドが上なのに、ものすごく内にササって落馬しそうになっている。そこで差を付けられてしまったのだ。真っ直ぐ走っていれば楽勝のレースだと思う。

2)2000年目黒記念
武豊を鞍上に、初重賞を制覇したレース。今年1月の武豊TVで、武自身が「この馬は勝負根性があるので、早く抜け出さないこと。そして左に左に行こうとするので、左回りだと内にササルのでどうしても馬ごみに入るとよくない。」と言っていた。このレースも、内が荒れていたのか、各馬外に出して、バラける展開になったため良かったようだ。それでもものすごく内に切れ込んでいる。うまく脚を使うときに他馬に接触することなく走れたので減速することなく切れを引き出した勝利だった。

3)2001年京都大賞典
ナリタトップロード、テイエムオペラオーを抑えて楽勝のレースだったのに、直線でまたしても左にヨレてナリタが落馬。失格となったレース。後藤も2回目の騎乗でちょっとかわいそうだったのだが。

サンデー×ディクタス 
サッカーボーイの甥。
ステイやオルフェーブルの、あの闘争心と馬を追いかける時の切れ味は、まさにサッカーボーイゆずりだし、サッカーボーイの子に、ヒシミラクル、ナリタトップロード、ゴーゴーゼット、キョウトシチー、アイポッパー、ティコティコタック、ブルーイレブンと「切れるステイヤー」が多くいるのもなんだか面白い。

ただし、サッカーボーイは母父としては、ツルマルボーイ(ダンスインザダーク)、チョウサン(ダンスインザダーク)、マイネカンナ(アグネスタキオン)とマイラーが多い。
マイネルキッツ(チーフベアハート)ぐらいか?

池江泰郎は、ステイゴールドはかかり気味に行った時の方が良いと言っていた。

オルフェーブルも、馬ごみで我慢させる練習はするとしても、左回りで馬群を捌いて内に切れ込みながら突き抜けるようなレースをしたら一番強いんじゃないかなあ。そうすると凱旋門はちょっと微妙だが、、、

ステイ×メジロマックイーンのニックスについての考察はまた次回。

2012年3月28日水曜日

死生観−1

自分の死は、その少し前から自分のものでなくなり、もはや死自体は自分の手を離れる。
一方、老人は生に執着し、生きてる人間の多くは、死は「自分はまだしばらく大丈夫だろう」と思う。
 ありきたりだが、死に向かってどのように生きることを自分が重要と思うか?
「明日世界が滅びるとして、誰とどこへ行き、何を食べますか?」という質問は、元気な体と食欲、愛をもった肉体に宿る「有限の明日」という前提で成り立つ。
 しかし、多くはそうではないだろう。
 衰える時は、みるみる衰える。急に食事をとることが難儀になる。それでもなかなか死にきれず、入退院を繰り返すものだ。

 果たして、他人にとっての自分の存在意義はいつまであるのだろうか?
 
 ゲノム解析の果ての、降水確率のごとき「疾病発症確率」が、転ばぬ先の杖で幸福な明日を保証してくれるだろうか? しかし、人間はそういうものにお金をかけるように出来ている気がしないでもない。

 三木清の人生論ノートは、素晴らしい本だ。続きはまた明日にでも。

2012年3月26日月曜日

今日のアクティビティ

別冊サイゾー 文化時評アーカイブス を購入。これ1冊でサブカルの時勢がわかる。
さらに、ジュンク堂新宿のさよならフェア、哲学書を何冊か購入。
タワレコ新宿店で、Norah Jones とAnoiceのCDを購入。Anoiceの「The Black Rain」はかなりヒット。

2012年3月25日日曜日

八千代鮨

本多横丁の八千代鮨。ラムラなどにも何店舗かあるが、ここは大将、二代目とおかみさんの
こじんまりしたお店。前回は二代目、今回は大将に握っていただきました。
 お客さんは年配のご夫婦と、常連さんの女性2人。女性のお客さんは、サンテミリオンを持ち込んでお寿司や刺身をおつまみにして歌舞伎などの文化トーク。漏れ聞こえる話の内容からは海外で活動されていて、日本に帰るとこちらのお店に来られるのかなあ、という感じ。
 大将は非常に礼儀正しい方で、一見の私たちにも丁寧に対応していただいた。こういう丁寧な仕事って、自然に出来ていると客としては大変嬉しい。しめ鯖、初鰹、とろに近い赤身、どれも大変おいしい。とても良い夕食でした。池波正太郎の教えを実践したつもりだったが、少し飲み過ぎたのが反省点。

2012年3月24日土曜日

ネコパンチ

こんなとこでくるなんて。。。
別定G2だよーーー

しつこく買い続けたが・・・買えんわ。

2012年3月23日金曜日

スクニッツォ

野菜がおいしいイタリアン。
ワインも美味しかった。

少し店員が配慮が足りないし、明らかに30代看護師女子会マシンガントークからも、
「ちょっと小じゃれた使い勝手の良い店」というポジションになるんでしょうか?

でも、ランチ1000円で前菜の盛り合わせ付きなのは、お得です。

/http://r.tabelog.com/tokyo/A1309/A130905/13000433/

バランス感覚と中途半端

研究所発表会2日目。部長のトークはキャラ全開で、部の雰囲気や姿勢が伺えて面白い。
やっぱりこの世界、結果が全てなんだろうな。
 マルチシステムのクロスオーバー研究、ってこれからの時代のキーワードだってあちこちで聞くが、どなたかが話されていた、宗教も哲学も脳科学を媒介にしてつながってしまうということも、また現実なのか?

 クロスオーバー研究って、すごい千里眼とバランス感覚が必要で、それは臨床医だって同じなんだろうけど、中途半端と隣り合わせだというのが怖い。この恐怖に勝つためには、運、努力、環境、能力なんですと。足りないのは能力と努力だな。週末勉強しよ。

2012年3月22日木曜日

吉本隆明 真贋

を読む。先日、惜しくも亡くなった知の巨人。
晩年の思想集。

印象に残ったところ。技術は便利になったけど、人間の精神はむしろ悪くなる。
聖人君子は良いことしか言わない。孔子や老子が良いことしか言わないのは、世の中に悪いことがたくさん現れてきたためだと。
 人間の精神は悪くなったが、感覚や運動を鋭敏にする装置や方法が開発され、感覚はますます鋭くなってくる。そして、良いことばかり言う人が増えてきたときに、物事には利と毒があることを自覚していないと危ないという。

 パッと思い出すのは、Facebook。
 いいね!の総攻撃。決意表明、がんばろう。
 たまには、さしこ並にネガティブ発言連発だったり、ダメ人間ぶりを発揮したり、カミングアウトしたりするほうが正常なソーシャルネットワークだと思うんですが。

 2ch、ニコニコ動画と完全に2極化していくのが、なんともやるせないなあ。バーチャルな人格ではなく、半分のリアルさで自分を表明していかないと、SNSは一部のポジポジ君達の暇つぶしで終わってしまうんじゃね?

瓦礫処理についての公的見解

小出裕章が、種蒔きジャーナルでしゃべればしゃべるほど、反原発のシンボルと祭り上げられていき、ますます対立が深まっていく中で、瓦礫を拡散させるのはあかんのやろなあ、また国と東電の愚策で国際的に取り残されていくんやろうなあと直感的に思っていても、ほんとに確かな情報に飢えていたんだけど・・・

この徳島県の目安箱は真っ当な行政の姿勢として、ちょっと安心した。
やっぱり、核処理焼却炉を被災地に作って処理するしかないんやろなあ。

http://www.pref.tokushima.jp/governor/opinion/form/652

2012年3月18日日曜日

新潮45 4月号

特集「女のひとり勝ち」を読む。

有働由美子や越直美、美輪明宏に加え、古市憲寿と橋本治が論評を加える。
そのなかでも、橋本治の話が面白かった。

 歴史上、奈良時代に女性の手により天皇の絶対権力が確立されていて、平安に父娘の
摂関政治となり、父なる天皇の不在から男性原理が模索されて、武力衝突から武士の時代に至り、「男尊女卑」が確立される。橋本は、男性は、「男尊女卑」のハンディがないと、女性に太刀打ちできないという。


 そのようにしてもらったハンディも、長くは続かず、女性解放時代を迎える。
与謝野晶子の「やは肌のあつき血汐にふれて見でさびしからずや道を説く君」の歌を持ち出して、男が女に勝てないことを決定的につきつける。

 源氏物語や伊勢物語を持ち出すまでもなく、恋愛は美男のするもの、女から仕掛けるものと決まっている。これが草食系のルーツだと。オネエ系タレントのブームは、女系幸福度の拡大に伴う浸食現象であると述べる。
 女性は男性と結婚するのではなく、「自分の結婚」と結婚する。女性としての幸福度を
実感できているかどうか、の問題になると、男と女は切り離されてしまう。

 古市の洞察も面白い。
 建築・製造業の衰退とサービス業、福祉の雇用拡大。これは産業構造の「女性化」である。女性はコミュニケーション能力や交渉能力が元々高いから、逆に無口で力強い男性の仕事が減る。フェミニズムはただの女性優位の社会を示すのではなく、持続可能な社会を構想する思想なのだ。
 問題は、女性が仕事を続けることのできる制度の欠如。30代で休職・離職率が高いM字型労働曲線は日本と韓国ぐらいなのだそう。イクメンの増加とともに、主婦も含めた
労働の分担と、それに適応できるフラットさが男性に求められる時代なのだと。

 ここで1つ面白いなあと思ったのは、「料理」という仕事の持つ二面性。
 料理って、家庭では女性の仕事だったわけだが、店を見ると「板前」も「シェフ」も
圧倒的に男性が多いよなあ。料理の仕事って、実は、器用さだけではなくて、男らしい力強さを要求される仕事なんやろうな、と。ちゃんこ得意なお相撲さんを持ち出すまでもなく、
魚の裁ける釣り人も。食の基本は、狩猟・採集、男の領域はまだまだあるんとちゃうかなあ。今年は料理がんばろうっと。


ニッポンのジレンマ


昨夜のEテレ。面白い。

荻上チキのSYNODOSは毎日チェックしているが、この人の言葉は的確。

「メディアは必ずしも真実を伝えるものではない。この世の中に真実はない。より確からしい情報を社会的に構築する作業だけが存在する。ニーズをかなえるための情報共有がメディアの役割である。」
「危機を煽る報道と注意を喚起する報道は似て非なるものである。」
震災報道を通じたメディアチェックすることの重要性。掘り起こされたニーズ(弱っているヒト)に対するボトムアップの理論を積み重ねていって、メディアチェックする姿勢を持たなければならない。
「ダメ出しだけでなく、ポジ出しをする。」

マスメディアとネットワークメディア。
R(流言)=i(重要さ)× a(曖昧さ)

放射性物質について知らない、被災地の情報がない。
未曾有の災害、何かしたいけど、それに対して支援に対する方法論がない。

困っている人への手を差し伸べ方を一つずつ解決していきましょう。

やっぱり、大事なのはポジ出しだよな。


2012年3月15日木曜日

脳における感覚統合

産総研の山本先生のセミナー(3/13)
    異種感覚統合のメカニズムについて。
 倒立して別の画像に見える物体を自分がひっくり返ってみる場合と、横向きにして自分の姿勢を横向きにした場合で、視覚が重力の影響を受けるのか?(視覚と前庭覚の統合)

 時間順序の判断に空間が関与するのか?(when とwhereの統合)

 なるほど、面白いアイデアである。知覚研究は、原始的な機能であるからいろいろな
動物で研究されている分野だが、統合機能という人間に特徴的な(というか、動物ではニューロン活動という形でしか調べられない)機能をこのように研究するのか、と大変興味深かった。ここでも線条体がhubになっているという。(これはサルの研究であるが)

 後半は、音と光のラグアダプテーションとベイズ較正のお話。
難しかったが、ともかく、よくあることを無視したり(アンチベイズ)、検出しやすくしたり(ベイズ)することで、よく言えば鈍感さを確保していると言うことか?

 知覚過敏は、自閉症をはじめとしてさまざまな神経症での共通症状。
 情報過多な世の中、情報を受け流す能力を人間がどう獲得していくか?
 そんなことを考えさせてくれる非常にためになるセミナーでした。


2012年3月9日金曜日

震災1年を前に「世界を変えた哲学者たち」を読む

もうすぐ震災から1年になるのを前に、各メディアは、この1年の総括に躍起である。
風化させないように、またまた絆の合唱、進まぬがれき処理の話、落としどころとしての政府東電批判。
 やはり、繰り返される自然災害に放射性物質というふりかけがかかっただけで、全く違う様相を見せているのだ。
 
 何も正しいことを示せないことは、みんなわかっている。
 東電が何回倒産しても補償が終わらないことは、みんなわかっている。
 そもそも日本国自体が、震災前にすでに破たんしているのだから。
 大量の汚染水が増え続けていて、成す術なく海に放出されている。
 海産物の内部被曝の程度は、誰もわからない。
 大量に出来てしまったプルトニウムは、もはやどうすることもなく日本に漂い続けるだけだ。再処理施設は、当初予算の100倍もの投資をして、未だ稼働すらしていない。
 福島が原発に依存していたのは確かかもしれないが、そうしてまき散らした核物質により、多くの第一次産業が失われる。生産が失われる。消費の安全が失われる。日本ブランドの価値が低下する。

 こんな時代に出来ることは、ただ過去を振り返り、考え、未来を想像することだけである。哲学なんてカネにならず、実際に何の役にも立たないと言う人もいるだろうが、私は今こそ過去の哲学を学ぶ時なのかな、と思っている。

2012年3月8日木曜日

書評 原発はいらない 小出裕章

 原発の問題は、個人の生き方だけでなく、国家の在り方、歴史、経済、哲学思想に至るまで、あらゆるジャンルに関して考えることを余儀なくする問題であることは私だけでなく多くの日本人が思うことだろうが、やはり「専門家」であるという信頼で文章を読むことが出来ること。クリーンエネルギーとしての原発に魅了されて科学者の道を選び、その中で反原発に転じて、それでも科学者として大学に留まるという生き方は、なかなかできるものではないと思う。
 著作も多く、メディアへの露出も増えていて、揶揄する声もあるかとは思うが、最後の「ガンジーの7つの大罪」ということに、いたく共感して次第である。

2012年3月5日月曜日

椿々

大久保通り、筑土八幡にほど近い和食のお店。
入り口がわかりにくいことで有名だが、最近は
入り口が道路に表示されているので面白くない。

なぜか、店員さんはみんな坊主頭。野球チームなの?と聞いてみると、甲子園目指してますとの返答。

おでん、もつ、刺身絶品。正雪2合で撃沈。コスパはやや高いので注意。

2012年3月2日金曜日

ブログ開始:東浩紀「一般意思2.0」

なんと今さら、ブログ開始。
ブクログ・twitter・FBに加えて、更新できるんか?

手始めに、東浩紀の「一般意思2.0」の感想から。

六次の隔たり、small world network はソーシャルメディアの分野ではキーワードになっていると思いますが、実は、脳の機能的ネットワークの分野でも熱いんです。

安静時に同期する脳活動を、グラフ理論を用いて解析する手法。池谷裕二先生たちのグループの、シナプスのクラスター入力仮説。僕には、これらの神経細胞の振る舞いそのものが、バラバラに動いているものが何かをきっかけに同期して活動することから可塑性が生じるという考え方そのままが、ソーシャルの根本なんじゃないかと思うのである。それは、シナプスの電気活動であれば「共鳴」し、社会性を持つ人間であれば「共感」すること。島宇宙である「リトルピープル」同志をつなぐ横の連携というか、突発的な島宇宙を渡る飛躍、こそが 新しい「島宇宙」を作るんじゃないか、と思う。

東浩紀は未来の夢を語る。ルソーの一般意思の後に、フロイトの無意識を持ち出したのは脳科学にとっても、とても魅力的な説だ。経済や政治の世界でも脳科学的手法が取り入れられる昨今、分野を超えた横の共通言語、もっと言えば人間と動物をつなぐ共通言語を持とうとする意思(これは無意識に形成されるものでないと私は思う)。無意識の私的なつぶやきが政治や思想に影響するという東の考え方は、自分が他者との関わりから避けられない人間である限り、その事実自体を出来る限り自覚的に期待して待つという心構えを示しているように思えてならない。