2012年3月18日日曜日

新潮45 4月号

特集「女のひとり勝ち」を読む。

有働由美子や越直美、美輪明宏に加え、古市憲寿と橋本治が論評を加える。
そのなかでも、橋本治の話が面白かった。

 歴史上、奈良時代に女性の手により天皇の絶対権力が確立されていて、平安に父娘の
摂関政治となり、父なる天皇の不在から男性原理が模索されて、武力衝突から武士の時代に至り、「男尊女卑」が確立される。橋本は、男性は、「男尊女卑」のハンディがないと、女性に太刀打ちできないという。


 そのようにしてもらったハンディも、長くは続かず、女性解放時代を迎える。
与謝野晶子の「やは肌のあつき血汐にふれて見でさびしからずや道を説く君」の歌を持ち出して、男が女に勝てないことを決定的につきつける。

 源氏物語や伊勢物語を持ち出すまでもなく、恋愛は美男のするもの、女から仕掛けるものと決まっている。これが草食系のルーツだと。オネエ系タレントのブームは、女系幸福度の拡大に伴う浸食現象であると述べる。
 女性は男性と結婚するのではなく、「自分の結婚」と結婚する。女性としての幸福度を
実感できているかどうか、の問題になると、男と女は切り離されてしまう。

 古市の洞察も面白い。
 建築・製造業の衰退とサービス業、福祉の雇用拡大。これは産業構造の「女性化」である。女性はコミュニケーション能力や交渉能力が元々高いから、逆に無口で力強い男性の仕事が減る。フェミニズムはただの女性優位の社会を示すのではなく、持続可能な社会を構想する思想なのだ。
 問題は、女性が仕事を続けることのできる制度の欠如。30代で休職・離職率が高いM字型労働曲線は日本と韓国ぐらいなのだそう。イクメンの増加とともに、主婦も含めた
労働の分担と、それに適応できるフラットさが男性に求められる時代なのだと。

 ここで1つ面白いなあと思ったのは、「料理」という仕事の持つ二面性。
 料理って、家庭では女性の仕事だったわけだが、店を見ると「板前」も「シェフ」も
圧倒的に男性が多いよなあ。料理の仕事って、実は、器用さだけではなくて、男らしい力強さを要求される仕事なんやろうな、と。ちゃんこ得意なお相撲さんを持ち出すまでもなく、
魚の裁ける釣り人も。食の基本は、狩猟・採集、男の領域はまだまだあるんとちゃうかなあ。今年は料理がんばろうっと。


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